老齢厚生年金の繰下げの注意点とは
老齢厚生年金の繰下げ支給には、いくつかの注意点があります。
まず、通常の老齢厚生年金の繰下げ支給は、66歳までに老齢厚生年金の請求をしなかった人が、66歳以降に請求をすることにより、申請の翌月から増額された老齢厚生年金を受け取ることができる制度です。
一方、「60歳代前半の老齢厚生年金」の給付を受けていた人であっても、65歳以降に老齢厚生年金を繰下げすることが可能です。
たとえば、60歳から65歳まで「60歳代前半の老齢厚生年金」を支給されていたのち、65歳から70歳までの間、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の両方を繰り下げた場合を考えます。
●60歳から65歳まで
「報酬比例部分+定額部分+加給年金」が支給。
※報酬比例部分と定額部分は、繰下げできません
●65歳から70歳まで
繰下げを選択した場合、この期間の年金支給はなく「繰下げ受給待機中」となります。
●70歳から
〔老齢厚生年金+経過的加算(142%)〕+老齢基礎年金(142%)+加給年金が支給。
老齢厚生年金の繰下げに関する注意点には、以下のような事項があります。
障害年金および遺族年金について
繰下げ受給待機中(65歳以降)に、障害年金や遺族年金を支給された場合、「繰下げ」はその時点までとなります。
加給年金について
加給年金とは、厚生年金に20年以上加入した人に「65歳未満の配偶者」がいる場合に、支給される年金です。
厚生年金を繰り下げた時は、この加給年金も同時に先送りされます。
加給年金は繰下げたとしても、増額されることはありません。
また、先送りしたことで配偶者が65歳になった時点で、加給年金を受け取ることはできません。
加給年金は、年間約40万円となっています。
少ない金額ではありませんので、夫婦の生年月日や年金の加入状況などに応じて、繰下げを選択するかどうかを考えることが重要です。
社会保険事務者などで、年金金額の試算をしてもらっても良いでしょう。