老齢基礎年金の繰下げの損得とは
老齢基礎年金には、本来65歳からの年金支給を遅く請求することにより、年金を一定率増額して受け取ることができる「繰り下げ支給」があります。
それでは、本来の65歳からの年金と「繰下げ支給」とでは、どちらが得なのでしょうか?
繰下げ支給では、受け取る年金額は65歳から受け取る金額よりも多くなります。
また、増額された老齢基礎年金の金額は、その後一生涯続きます。
しかし、年金の受取開始年齢が遅いという事を考慮すると、どちらが得か損かは、その人の寿命次第でわからないと言えます。
年金受取累計額で考えると、最初のうちは従来の65歳から年金を給付されている「本来の支給」を選択している人が、たくさん受け取っていることになります。
しかし年数が増加するにつれて、年金を繰り下げて支給されている人の累計額が追い付いてきます。
それでは「繰下げ支給」の年金額は、65歳から支給される通常通りの年金額に、何歳で年金受取累計額が追いつくのでしょうか?
答えは、繰下げの受給開始年齢から「約11年10ヶ月」で追いつきます。
計算をすると、
となるからです。
※少子高齢化の進行や物価上昇の影響は加味していない
したがって「繰り下げ支給」を請求し、その支給開始年齢から約12年が、年金受取累計額の損益分岐点となります。
以下に、損益分岐点となる時期を記述します。
- 66歳から支給・・・約77歳10ヶ月
- 67歳から支給・・・約78歳10ヶ月
- 68歳から支給・・・約79歳10ヶ月
- 69歳から支給・・・約80歳10ヶ月
- 70歳から支給・・・約81歳10ヶ月
この年齢よりも寿命が短ければ、年金受取累計額は65歳から通常の年金額を支給された方が有利となります。
この年齢よりも寿命が長ければ、「繰下げ支給」の増額された年金額を支給された方が有利となります。
ちなみに、厚生労働省発表の「平成18年度簡易生命表」によると、0歳からの平均寿命は「男性 79.00歳」「女性 85.81歳」となっています。
「繰り下げ支給」はよく考えて選択することが重要です。