厚生年金とインフレの関係とは

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厚生年金とインフレの関係とは

厚生年金は過去において、インフレが発生すると賃金・物価に連動して上下していました。

 

厚生年金の報酬比例部分の年金額は、かつて「賃金スライド」と「物価スライド」の2種類の連動方法がありました。

 

賃金スライドとは

賃金の増加に応じて厚生年金が増減する制度のこと

 

物価スライドとは

物価の変動に応じて厚生年金が増減する制度のこと

 

平成12年度の法改正により、賃金スライド制度は廃止され、物価スライドのみになりました。

 

物価スライドは、総務省が毎年発表している全国消費者物価の変動率に応じて、毎年4月から年金額が改定されます。

 

また、少子高齢化により若年層には保険料の増加を、高齢者層には年金額の抑制を求める動きが活発化しています。

 

そこで、平成16年度の法改正により「マクロ経済スライド」という制度が採用されました。

 

マクロ経済スライドとは

公的年金の加入者の減少率と平均余命(平均的な年金受給期間のこと)の伸び率に応じた「スライド調整率」によって、年金額の上昇を抑制する制度のこと。

 

スライド調整率は、2025年まで平均0.9%となっています。

 

〔例〕
物価が1%上昇すると・・・

1%からスライド上昇率の0.9%を引いた、残りの0.1%だけ年金額が増加します。

 

つまり、インフレになると年金の金額価値が目減りすることになります。

 

さらに、若年層の保険料を上げないという考えのもとで、「保険料水準固定方式」が採用されています。

 

厚生年金の年金額を計算するときは、昔の給料(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)の額を現在の価値に見直すために「再評価率」を乗じています。

 

再評価率は毎年、保険料の収入の範囲内で、年金額を自動的に改定するようになっています。