受託者責任とは

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受託者責任とは

受託者責任とは、「年金基金関係者が負う管理責任のこと」です。

 

年金基金関係者とは、主に「年金基金の理事」「年金の管理運営者」「運用や数理の受託機関である運用機関(生命保険会社などの金融機関)」「運用コンサルタント(投資顧問会社など)」などを指しています。

 

受託者とは、英語の「fiduciary」のことで、「委託者の信任を受け、受益者のために行動する者」、「そのために広範な裁量権を有する者」を意味します。

 

受託者責任は、加入者や受給者の「受給権保護」の観点から、事業主など年金の管理・運営に関係する者について、加入者・受給者に対する「忠実義務」「善管注意義務」などの責任が規定されており、「利益相反行為の禁止」などの行為準則が明確化されています。

 

忠実義務とは、受託者は受益者の利益を守ることのみを目的として職務を遂行することを言います。
善管注意義務とは、受託者は財産管理に当たって、合理的な注意を払うことを言います。

 

日本における受託者責任は、以下の通りです。

 

【厚生年金基金】
○厚生年金保険法

基金の理事の「充実義務」「禁止行為」などについて規定されています。

 

○受託者責任ガイドライン
厚生労働省により制定され、厚生年金基金の資産運用について基金の関係者の義務、および、責任分担とその範囲が明確化されています。

 

○受託者責任ガイドライン(理事編)・受託者責任ガイドライン(運用機関編)
旧厚生年金基金連合会によって発行されたガイドラインで、基金の理事や運用機関などに対する行動指針を示しています。

 

【確定拠出年金】
事業主・運営管理機関・資産管理機関について、加入者などに対する「忠実義務」「利益相反行為の禁止」などの行為準則が明確化されています。

 

【確定給付企業年金】
事業主・基金の理事・運用機関などの年金の管理・運営についての関係者に対し、加入者などに対する「忠実義務」「利益相反行為の禁止」などの行為準則が明確化されています。

 

【適格退職年金】
税制上の措置であるため特定の年金法に基づいた制度ではなく、受託者責任は存在しません。

 

【公的年金(国民年金・厚生年金)】
公的年金の積立金運用は、国が国民に対して受託者責任を負っています。

 

2004年の年金改革において、「年金積立金管理運用独立行政法人」が創設されました。

 

独立行政法人の理事長および理事に対して、慎重な専門家の「注意義務」「忠実義務」「秘密保持義務」が課せられ、受託者責任について法律上明確に規定されています。