受給権保護とは
受給権保護とは、年金を受け取る権利を保護することを指します。
日本では、1990年代のバブル崩壊により、年金資産の運用利回りが激減し、年金財政が悪化したことによる、企業年金の破綻や解散、あるいは、年金給付の減額などから受給者を保護することを目的に法律が整備されてきました。
以下に、日本の「受給権保護」に関する法律について述べていきます。
公的年金
公的年金は、老後や障害などの所得保障を目的として支給されています。
公的年金を受給する権利に対して、保護規定が存在します。
内容は「譲渡・担保提供・差し押さえの禁止」に関するもので、「厚生年金保険法41−1・国民年金法24・その他各共済組合法など」に規定されています。
福祉医療機構・国民生活金融公庫には、例外的に一部の年金受給権を担保として、小口の貸付を行うことが認められています。
しかし、それ以外は公的年金を担保として利用することはできません。
また、金融機関が福祉医療機構の委託を受けて代理貸付を行う場合もありますが、金融機関が質権者になることは認められていません。
企業年金
「自社年金・適格退職年金・厚生年金基金」などの企業年金は、退職金コストの増加により、企業の負担を軽減することを目的として退職一時金制度から移行したものです。
現在でも「退職時に一時金を受け取る場合」と「年金として受け取る場合」の選択制や併給性を採用している企業年金も存在します。
企業年金の受給権保護規定として、「厚生年金基金」が支給する年金・一時金には、厚生年金基金に準じて「譲渡・担保提供・差し押さえの禁止」に関する項目が「厚生年金保険法41−1・136」に規定されています。
また、「その他の退職年金」についても給料と同様に「差し押さえ制限」の規定が「民事執行法152−1二」に存在します。
個人年金
個人年金は、個人が任意に金融機関と契約し受給する年金であるため、担保提供が可能かどうかについては、その商品の性質によるため、法律上の保護は存在しません。