老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給とは〔65歳以上の場合〕 その2
老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給について、以下に記述します。
従来、配偶者には以下のような選択肢がありました。
1 老齢基礎年金+遺族厚生年金(死亡した人の老齢厚生年金の3/4)
2 老齢基礎年金+老齢厚生年金
3 老齢基礎年金+老齢厚生年金の1/2+遺族厚生年金の2/3(死亡した人の老齢厚生年金の1/2)
しかし平成19年4月の法改正により、厚生年金の加入者には「2」が支給されることになりました。
ここで、老齢厚生年金を選択した場合、または、遺族厚生年金を選択した場合、それぞれの違いについて述べていきます。
老齢厚生年金と遺族厚生年金では、支給される金額は同じでも、仕組みには大きな違いがあります。
【老齢厚生年金】
○再婚しても、一生涯年金を受給できます。
○「在職老齢年金」の制度が適用されるため、仕事をして厚生年金に記入すると減額されます。
○税金として、所得税が課税されます。
【遺族厚生年金】
○再婚すると、受給する権利がなくなります。
○「在職老齢年金」の制度は適用されないため、給料が高額であったとしても、減額されません。
○税金はなく、非課税となります。
65歳以降の「老齢厚生年金」と「遺族厚生年金」の併給調整において上記の違いを考えると、高額の給与を受け取っている人にとっては、遺族厚生年金を選択した方がメリットがあると言えます。
支給される金額が同じでも、手取りの金額が変わるからです。
しかし平成19年4月の法改正により、選択する余地はなく厚生年金加入者は「2」を選択することなりました。
さらに、上記の「1」「2」「3」は、配偶者に支給される場合です。
配偶者以外の遺族に対しては、「1」と「2」のうち一番高い金額を比較して決定されます。
「3」の計算式では算出されません。
配偶者以外の遺族で、自分の老齢厚生年金が支給される人の場合は「2」を選択することになり、もし「1」の金額の方が大きい場合は、差額分を遺族厚生年金として支給されることになります。