寡婦年金と死亡一時金の選択について

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寡婦年金と死亡一時金の選択について

寡婦年金死亡一時金は、両方を同時に受け取ることはできません。
両方の受給権があったとしても、どちらか一方を選択することになります。

 

一方を選択すると、もう一方の受給権は消滅します。

 

どちらにも受給権が存在する場合は、有利な方を選択することをお勧めします。

 

寡婦年金と死亡一時金は、妻が将来受給できる年金の種類、あるいは、妻の厚生年金の加入期間によって、有利な方が変わってきます。

 

さらに選択する上で問題となるのが、寡婦年金と死亡一時金では受給する時期が異なるということです。

 

寡婦年金の受給時期

妻が60歳にならないと、受け取ることができません。
寡婦年金は「年金」であるので、毎年給付があります。

 

死亡一時金の受給時期

2年以内に請求しなければ、受給権はなくなります。
死亡一時金を請求すると、後に寡婦年金は受け取れなくなります。

死亡一時金は、1度きりの給付で終了します。

 

寡婦年金と死亡一時金を選択するために、参考となるようなケースを以下に記述します。

 

【夫が自営業のみだった場合】

 

○妻が国民年金だけに加入していた場合は、寡婦年金が有利です。
⇒「60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金」が支給されないため

 

○60歳前に再婚する場合は、死亡一時金が有利です。
⇒寡婦年金が受給できなくなるため

 

○妻に厚生年金の加入期間がある場合は、以下の〔1〕と〔2〕の金額を比較して有利な方を選択します。
〔1〕死亡一時金の金額+60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金の合計額

〔2〕60歳から65歳までの寡婦年金の合計額

 

【夫が厚生年金に加入していた場合(子がいない時)】

 

妻は「寡婦年金と死亡一時金のどちらか」と「遺族厚生年金」を受け取ることができます。
この場合、年金の金額だけで判断すれば「寡婦年金」が得になります。

 

死亡一時金を選択しないケースでは、妻が60歳になった時点で、以下の3種類の年金を選択することになります。

 

○遺族厚生年金を選択したとき
60歳から65歳までは、遺族厚生年金と中高齢寡婦年金が給付されます。

 

○特別支給の老齢厚生年金を選択したとき
60歳から65歳までは、報酬比例部分と定額部分が給付されます。

 

○寡婦年金を選択したとき
60歳から65歳までは、寡婦年金が給付されます。

 

遺族厚生年金を選択すると寡婦年金は受給できなくなりますので、この場合、死亡一時金を選択するのが有利であるといえます。

 

寡婦年金と死亡一時金の選択については、損得勘定はその人個人のケースごとに違いますので、きちんと試算してから選択することが大切です。